光が、また遠ざかる
俺を柔らかく包んでいた光が


嫌だ、もう闇は


お前を失いたくない
お前の傍に居たい


ずっと、お前と……










顔を背けてしまうような










変わらず、俺はお前の隣りに居るのに
変わらず、俺はお前に触れているのに


お前は本当に俺を見てくれている?


何にそんなに怯えているんや
そんなに必死になって、何から目を逸らそうとしているんや


何かを見ようとしないことは、それを何よりも意識しとるってこと


は、そのことに気付いていない


あいつも


勘のいい男なのにな
愛は盲目ってやつかいな


をずっと見つめ続けるあいつと
頑なにあいつから目を背け続ける


そんな二人を見る度、俺は気が狂いそうになる










「俺はを抱いた。泣いて嫌がるあいつを、何度も」



俺に面と向かって、あいつが放ったその言葉に


一気に頭に血が上って、噴きあがるように熱くなった
一気に全身の血が抜けて、凍えそうなほどに冷たくなった


爪が喰い込むほどに拳を握り締めて
目の前にいる男を、このまま殴り殺してやろう思うたわ


けど、そんなん出来るわけないやん
だって、あいつは


俺はただ震える声で「に近づくな」て言うことしか出来んかった
そうして俺はあいつに背を向けて、逃げ出したんや


泣いて嫌がる?
ほんまかいな


泣くほど嫌なら、なんで大人しく何度も抱かれるんや
本当は喜んで身体を開いてたんやないか


あいつに犯されるの姿を想像して、俺は










こんな俺自身を、殺してしまいたい










「侑士、侑士っ……」



は、いつも俺の名前を呼ぶ
何度も、何度も


以前はそれが嬉しくて、愛しくて、仕方がなかったんやけど


今は


まるで、俺の存在を自分に言い聞かせて、確かめているみたいや
そんなことせんでも、俺はちゃんとお前の傍におるのに


お前の一番近くに居るんは、俺と違うんか?










「侑士、大好きだよ」



は、いつも笑いながら俺に走り寄って来る
俺を照らす、光


こんな顔、きっとあいつには見せないんやろう
こんな言葉、きっとあいつには掛けないんやろう


そう考えるだけで、背中がゾクゾクして
脳天が痺れるような感覚に陥る


愚かな、そして虚しい独占欲










たとえお前が顔を背けたその心の奥底で、誰を想っていようと
俺の存在を使って、他の誰かを掻き消そうとしていようと


たとえその光に、この身が焼かれてしまおうとも










それでもええ


お前がそのことに気付かんように、俺は祈り続ける










そうして俺は、ずっと、ずっとお前の傍に、居座り続けてやるわ




















061208